明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~
「気が向いたら、本当に俺の女になってもいいが」
「なりません!」
「あははは。世話してやってるんだから、そんなに強く否定するなよ」
「あっ、申し訳ありません」
でも、この先絶対に信吾さん以外の人を好きになることはない。
どうやら佐木さんは、数年前に奥さまを病気で亡くしてひとり身なのだとか。
「とりあえず、明日の朝迎えにくるから、今日は休め」
「はい。ありがとうございます」
佐木さんが帰っていくと、破れている障子を見つめる。
なんでも雨漏りもするらしいが、家があるだけでありがたい。
それに、佐木さんに使っていない布団まで借りることができたので、てるが持たせてくれたお金をさほど使わずに済んだ。
「頑張るからね」
今度はお腹に向かって話しかける。
信吾さんの子を無事に産むことだけが私の目標だった。