明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~
佐木さんに紹介された海軍工廠職工共済会医院での私の仕事は、主に清掃業務だった。
近くに新病院の建設が進んでいるが、まだ開設されたばかりで患者は海軍工廠の職員や家族だけ。
清掃も大変ではない。
身重のせいか吐き気が襲ってくることもあったが、身近にお医者さまや看護婦さんがいるという安心感があり、私にはちょうどいい働き口だった。
「真田さん、シーツをかけ直しておいてくれない?」
「わかりました」
洗いたてのシーツを手に処置室に向かうと、佐木さんとすれ違う。
「真田さん、体調はどう?」
「はい。大丈夫です」
彼は見かけるたびに気遣ってくれる。
驚くような出会い方だったが、本当に助かっている。
しかも上の人と掛け合ってくれて、なんと出産後も働けるようにしてくれた。