明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~

直正が六カ月にもなると、おんぶしたまま掃除業務にも復帰した。

幸い、看護婦たちは皆親切で、手が空いたときは直正の面倒まで見てくれてありがたい限り。

ひとりで産むと決意したときは不安いっぱいだったが、よき人たちに囲まれてなんとかやっていけそうだと安堵していた。



直正はすくすく成長し、あっという間にもうすぐ二歳半。

最近ではたくさんの言葉が出てくるようになり、ちょこまか動くので目が離せない。

こんなことなら、背負って仕事ができていた頃のほうがよかったと思うほどだ。


とはいえ、我が子の成長を見ていると頬が緩む。

しかも……目元が信吾さんそっくりで、直正を見ているとどうしても彼を思い出すのだ。


「元気かしら……」


病院から直正の手を引き帰る途中、赤く燃えるような西の空を見上げて思わずつぶやく。


もう、他の女性と結ばれているかもしれない。
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