明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~
なにも言えないでいると、佐木さんは続ける。
「それで、家族から使用人に至るまで事情を聞かれているらしく……。行方不明になっている君のことを捜しあてたようだ」
「私……」
信吾さんに加害者の家族だと知られてしまった。
私が勘づいていて逃げたことも、気づいたかもしれない。
「もちろん、罪を犯したのはお父さんで、真田さんじゃない。詳しい事情を知っているの?」
「いえ。もしかしたら父の乗った馬車が黒木さんの娘さんをはねたかもしれないということは、女中から聞きました。でもそれを知った直後に家を出てしまって……。父がどうなったかご存じですか?」
その黒木家の長男と恋に落ちて直正が産まれたとはどうしても言えず、父の現況を尋ねるも佐木さんは首を横に振っている。
「お父さんのことはよくわからない。おそらく自分で馬車を走らせていたわけではないだろうから、そのあたりをどう解釈してもらえるのか……」