明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~
佐木さんは眉根を寄せる。
けれど、信吾さんの妹を救助しなかったのも、隠ぺい工作を指示したのも父だろう。
罪がないとは言えない。
きっと真田家は大変なことになっているはずだ。
「お父さんに今後どんな処分が下るかわからない。でも、海軍は黒木造船にかなり世話になっている。真田さんはもうここにはいないほうがいい」
佐木さんは直正をチラッと見てから私に視線を戻す。
彼の言う通りだ。
私自身に関わりがないことが証明できたとしても、今まで通りというわけにはいかないだろう。
冷たい視線を浴び続けることとなる。
私はいい。でも直正には酷だ。
それに、信吾さんに居場所を知られてしまう。
ううん、もしかしたら病院に来ているのは彼?
「これ。俺の友人の一ノ瀬(いちのせ)という人間が副社長をやっている紡績会社の住所。雇ってもらえるように話はつけておいてやるから、ここを頼っていくといい」
「そんなことまで……。ありがとうございます」