明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~
これほど親切にしてもらえるとは。
「直正を一緒に育てると言ったのに、こんなことしかできなくてすまない。真田さんは働き者だし、看護婦たちも寂しがるに違いない。いろいろあるかもしれないが、君ならきっとやっていける」
彼の優しい言葉に涙腺が緩む。
しかし、直正の前では泣くまいと唇を噛みしめてこらえた。
「本当にありがとうございます。いつか落ち着いたら改めてお礼に参ります」
「そんなことは気にしなくていい。でも、直正の成長した姿は見たいな。あと、真田さんが幸せになった姿もね」
彼は私の肩に手を置き、優しく微笑む。
そしてそのあと腰を折り、直正に視線を合わせた。
「直正。お母さまを大切にするんだぞ。もう少し大きくなったら、お前が守るんだ」
まだよく理解できないだろう直正に、真剣な表情で諭す。
「佐木さん……」
「気づかれないうちに行きなさい。適当にごまかしておくから」
「はい」