明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~
「父がしたことは許されません。本当に、申し訳ありませんでした」
もう一度謝罪をして腰を折る。
「顔を上げろ。八重は知らなかったと聞いたが」
懐かしい声で『八重』と呼ばれて、心が揺れる。
けれど、彼にとって私は仇なのだ。
「……はい。家を出る直前に耳にするまでは知りませんでした。ですが父がしたことは――」
「許すつもりはない」
胸をえぐるような尖った声できっぱりと言い切る彼は、口を真一文字に結ぶ。
「当然です。どのような報いも受ける覚悟はあります。ただ、この子を育てなければなりません。どうかお命だけは……」
「その子は、まさか……」
その質問に、目が不自然にキョロッと動いてしまった。
あなたの子ですと言えたらどんなにいいか。
でも、それは許されない。
黙っていると彼は続ける。
「何歳になる」
「二歳半です」
「二歳半……。横須賀でひとり身だったという話を聞いたが、父親は?」