明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~
「隙間風もひどい」
たしかに、隙間風は気になる。
暑い時季はいいが、冬は凍えるだろう。
けれど、仕方がない。
「ですが、眠れる場所があるのは幸せなことです」
小さなちゃぶ台を挟んで彼の向かいに正座し、緊張しながら話す。
「そう、か」
彼はお茶を口に運びながら、眉をしかめた。
「直正は、俺の子か?」
単刀直入すぎる質問に目を瞠る。
しかし、『はい』と言うわけにはいかない。
父は取り返しのつかない過ちを犯したのだから。
「違い、ます」
「それなら、清水の子か?」
「そんなわけがありません!」
とんでもないことを言いだされて声が大きくなり、口を押さえた。
婚約はしていたが、指一本触れられてはいない。
佐木さんに娼妓と勘違いされたときも、止まってくれなければ舌をかみ切る覚悟だった。
信吾さん以外の人に体を許すなんて絶対に嫌。
あまりに強く否定したせいか、信吾さんは目を丸くしている。