明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~
彼は父親を知りたがっているが、どうしても言えない。
告白しても結ばれる未来がないのに、悲しいだけだ。
「八重」
名を呼び、強い視線で私を縛る彼は、それからしばらくなにも言わない。
息苦しい沈黙が続いたが、目をそらしたいのにそらせない。
「なんでもすると言ったな」
「は、はい」
どんな罰が下されるのかと身構える。
妹さんの自由を奪った父の罪は重い。
「それなら、今後俺の言うことに従え。反論は一切認めない」
「わかりました」
「引っ越しをする。荷物をまとめておけ」
覚悟して耳を傾けていると、意外な命令に拍子抜けした。
「引っ越し……。どちらに?」
彼の言う通り決して居心地がいいとは言えない借家だが、家賃が高くては生活がままならない。
それとも、罪人の家族である私たちに、こうして休める家があることが気にくわない?
この家では贅沢?