明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~
「引っ越し先はすぐに俺が手配する。明日の夕方迎えにくる」
「ですが……」
「口ごたえは許さんと言ったはずだ」
強い口調で言われて黙るしかなくなった。
「お前の父を許すつもりはない。今後、裁判にかけられるが、本当はこの手で殺めてやりたい」
彼は唇を噛みしめて憤慨をあらわにする。
当然だ。
「真田家は、爵位返上だ。清水家も立腹しているから、いたしかたないだろう」
そうか。
清水家も、婚約者が失踪しただけでなく、犯罪者の娘だったと判明したのだから、世間から恰好の中傷の的となったはずだ。
激高しているに違いない。
「仕方ありません。私で受けられる罰は、なんでもお受けします」
そんなことを言ったところで、妹さんの悲しみが癒えるはずもない。
けれど、他にどうしたらいいのかわからない。
「いいだろう。お前を二度と逃がさない。それだけは肝に銘じておけ」
「はい」
目の前に生涯をかけて愛し抜こうと思っていた人がいるのに、憎き仇となってしまったのがつらくてたまらない。