明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~
私は隣の部屋に行き、疲れ果てて眠っている直正の頭を撫で話しかける。
どれだけ信吾さんとの距離が離れても、この子には罪はない。
父に対する怒りは私が引き受けて、この子の幸せだけはどうにか守らなければ。
風でカタカタと音を立てる窓から外を眺めながら、そう決意していた。
翌日。
津田紡績の仕事を終えて家に戻ると、制服ではなく、白いシャツとスラックス姿の信吾さんが待っていた。
「お待たせして申し訳ありません」
「いや。それほど待ってはいない」
彼を怖がる直正が私の足にギューッとしがみついてくるので、抱き上げた。
「荷物は?」
「まとめました」
玄関に私と直正の着物を少しと、生活用品をわずかに。
「たったこれだけか?」
「はい」
真田の家にいた頃は、箪笥からあふれそうなほどの着物を持っていたが、過去の話だ。
うなずくと、目を丸くした信吾さんはその荷物を手にした。
「私が……」
「八重は直正を抱いていろ」