明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~
大きな窓の外には立派な庭まで広がっている。
直正は縁側に行き、キョロキョロと庭を眺め始めた。
「黒木さん、こんな立派な家をお借りするわけにはまいりません」
「これは命令だ。今日から八重は俺の下女だ」
彼は冷たく言い放ったけれど、『命令』と口にしたのは、私が断れない状況を作ったように思えてならない。
私が知っている彼はそういう気遣いのできる人だ。
どうしてここまでしてくれるの?
私はあなたの仇なのよ?
聞きたくてたまらないが、直正の前で多くは話せない。
「明日は朝が早い。黒木の実家よりここからのほうが警視庁に近いから、今日は泊まらせてもらう」
泊まる?
驚愕の発言に目を泳がせると、「風呂の準備をしてくれ」と指示され、一旦部屋から出た。
台所はあまり使われた形跡もなく、長屋とは比べ物にならないほど広い。
適当に奥に入っていくと、鉄砲風呂を見つけた。