明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~

長屋には風呂はなく直正を連れて銭湯を利用していたが、眠いとぐずるので大変だった。これはありがたい。

早速薪をくべて風呂の用意をして戻ると、なんと縁側に座った信吾さんの膝の上で直正が眠っていたので驚いた。


「すみません」
「風呂を待てなかったようだ。奥の部屋に布団を敷いてくれ」
「はい」


慌てて押し入れから布団を取り出したが、これまた真田家にあったものと同じような立派な褥で、使ってよいのかとためらうほどだ。

しかし、直正を抱いてきた信吾さんはなにも気にせず寝かせてくれた。


「風呂に入ってくる」
「はい」


どうやら彼は以前からこの家を利用していたらしく、着物などは用意されている。

そういえば、警察官の仕事は夜勤もあり不規則で、夜中に実家に出入りすると使用人が気を使うから別のところに泊っていると聞いたことがある。

きっと、それがここだったのだ。

そんな大切な場所に住まわせてもらってもいいのだろうか。
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