明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~

「あっ……」
「八重、八重……」


彼の胸には憤りしかないと思っていたのに、私の名を呼ぶ声は優しい。


「黒木、さん……」
「だめだ。信吾と呼べ」
「信吾さ……あぁっ」


名前を声に出した途端、激しく腰を打ち付けられて大きな声が漏れると、彼は私の口を手でふさぐ。


「直正が起きてしまう。少し辛抱しろ」


そんな言葉とは裏腹に彼の行為は加速していき、私を抱き上げたかと思うと唇をつなげながら下から突き上げてくる。


「あっ」
「俺以外の男に体を許すな。お前は俺だけのものだ」


突然動きを止めた信吾さんは、私の頬に優しく触れまっすぐに見つめて囁く。

たとえ憎しみの対象だったとしても、彼の独占欲が心地よくてたまらない。

彼は再び私を褥に寝かせたあと、一層動きを加速させて顔をゆがめながら私の腹の上で欲を放った。


「はぁ、はぁ……」


肩で息をする彼は、私を抱きしめたまま動こうとしない。


「八重……」


そして耳元で私の名を囁く。
< 143 / 284 >

この作品をシェア

pagetop