明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~

「真田さん、ここの仕事は慣れたかい?」
「はい、おかげさまで」


一ノ瀬さんもここに来るたび、私のことを気にかけてくれる。


「あの、用意していただいた長屋から引っ越しをしました。その節はお世話になりました」
「引っ越したの? 家が見つかった?」
「はい。知り合いが家を貸してくださって……」


信吾さんのことを詳しくは話せなくて、曖昧に濁す。


「そう。ちょっと……」


すると彼は私を人のいない場所に連れ出した。


「先日、ここの近くで真田さんと警察官の姿を見た者がいてね。とても険悪な雰囲気だったと耳にしたんだけど……」


見られていたんだ。
工場の近くには女工だらけなので当然か。


「ご迷惑をおかけしました」
「いや。なにも迷惑なんてかかってないから大丈夫。お父さんのこと?」


やはり佐木さんから聞いているようだ。


「はい」
「大変だったね。でも真田さんはなにも関係ないと聞いているし、困ったことがあったらいつでも言って。佐木がすごく気にしてる」
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