明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~
「着替えてくる。夕飯はある?」
「はい。お口に合うかどうかわかりませんが……」
「八重が作った物ならなんでもいいさ」
彼はそれだけ言い残して部屋を出ていった。
許さないとはっきり言ったのに他の言動が優しくて、まだ愛されているのではないかと勘違いしそうになる。
「お母さま、食べてもいい?」
直正は袋を覗き込み尋ねてくる。
「もう夕食だから、そのあとにしましょう。黒木さんも一緒に」
袋の中には三つ大福が入っている。
どうせなら信吾さんと一緒に食べたいと思った。
緊張しつつも三人で囲んだ食卓は、直正の食べっぷりがすごいせいか、信吾さんの表情が柔らかい。
「直正は大きくなりそうだな」
「ご飯をかき込まないの。もっと行儀よく食べなさい」
まだ箸をうまく使えないのでポロポロこぼすし、信吾さんに預かったお金で用意した新鮮な鰯を甘露煮にしたら、それが気に入ったようで夢中だ。
今までは贅沢に魚や肉を食べさせてやれなかったので無理もない。