明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~
そう考えるのと同時に、私は直正から父を、そして信吾さんからは子を奪ってしまったのだと、激しい罪悪感に襲われる。
父が犯した罪ではあるが、それを知りながらも、直正をひとりで産むと決めたのは私。
直正を身ごもったとき信吾さんにすべてを打ち明けていれば、今は違う道を歩いていたかもしれない。
……ううん。そんなことはできなかった。
父を警察に売ることも、直正の存在を知らせることも。
信吾さんは優しい人だ。
仇の娘に自分の子が宿ったと知ったら、複雑な感情に支配されて苦しみ抜いたに違いない。
これでいいのだ。
私は信吾さんから疎まれ、恨まれたままだったとしても、少しでも直正に笑顔を向けてもらえれば。
食事がすんでお腹はいっぱいのはずなのに、直正は、大きな口を開けて大福を頬張っている。
「少しずつ食べるの。飲み込んではだめよ。喉につっかえたら死んでしまうわ」