明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~
大福を食べるのが初めての直正に矢継ぎ早に言葉を被せたが、食べるのに夢中で聞いていない。
「直正」
すると、信吾さんのピリッと引き締まった声がして、彼はようやく手を止めた。
「母は、お前のためを思って注意しているのだ。言うことが聞けないならもう買ってこないぞ」
強くたしなめた信吾さんだったが、直正を手招きして自分の膝にのせ、「一緒に食うぞ」と大福を握る直正の手を握る。
そしてひと口が大きくなりすぎないようにかじらせたあと、「十回噛むんだ」と教えている。
私よりずっと子供の扱いがうまいので吃驚した。
「おいしいか?」
「うん!」
叱られたはずの直正も笑顔が戻り、それからはよく噛むようになった。
そしてそれを見た信吾さんは満足そうだ。
お腹が満たされた直正は、風呂に入るとコテンと眠りについた。
「八重。俺の部屋に来い」
風呂上がりにまた呼ばれた私は、信吾さんの部屋へと向かう。