明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~
「今日は本当にありがとうございました。直正のあんな笑顔を初めて見ました」
精いっぱいやってきたつもりだったが、やはり我慢をさせてきた。
仕事中は一緒にはいられないし、食べ物も質素なものばかりで、大福なんて買い与える余裕はなかった。
正座をしてお礼を言うと、彼は小さくうなずく。
浴衣の襟元からのぞく大きな喉仏が上下するのを見ているだけで、胸がドクンと跳ねる。
それも、情熱的に抱かれたせいだ。
「こちら、お返しします」
私は高鳴る鼓動に気づきつつ、お金を返した。
すると彼は眉尻を上げる。
「俺に恥をかかせるのか?」
「いえっ、決してそんなつもりは……」
「自分の所有物に贅沢をさせてなにが悪い。口ごたえは許さんと言ったはずだ」
まただ。
また高圧的な態度で私を支配しようとするが、その言葉の裏に見える優しさに胸が熱くなる。
彼は私が差し出したお札を再び私のほうによこし、なぜか熱い眼差しを送ってくる。