明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~
週末は非番だったらしく、信吾さんは私と直正を人力車に乗せて銀座に向かった。
ここで出会ったんだ……。
私たちが出会った辺りで人力車を下りると、ちょうど時計塔が十回自鳴した。
初めて聞く直正は、時計塔をじっと見つめて動こうとしない。
無理やり彼の手を引こうとしたが、信吾さんに止められた。
「好奇心旺盛なのはよいことだ」
「はい」
やはり、信吾さんは私より子供の扱いがうまそうだ。
どこに行くのかわからないままついてきたが、彼はまず直正が気に入った千歳の和菓子を買って持たせてくれた。
直正はそれだけでご機嫌。
余程おいしかったに違いない。
それから電車通りをゆっくり歩くが、疲れたのか直正は抱っこをせがむ。
私が抱こうとすると、一瞬早く信吾さんの手が伸びてきて「甘えん坊だな」と微笑みながら抱き上げた。
「すみません、私が……」
「俺のほうが力はある。それに視界も高くなるから直正も楽しいだろう」