明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~
信吾さんは私たちが借りている邸宅にやってくることがかなり増えている。
直正と彼との関係は良好で、最近直正は「黒木さん来る?」と私に毎日尋ねるくらいだ。
時々菓子を買ってくれるのもあるが、それ以上に遊んでくれるのが大きいらしい。
今までは忙しくて相手をする時間もあまりなかったので、愛情に飢えていたのかもしれないと反省している。
今日は仕事のあとになにか用があるらしく、夜遅くなるが訪ねると言われている。
信吾さんを待っていた直正は、睡魔には敵わずもう床についた。
夜も更け、今日は来ないかもしれないと思ったが、日をまたいだ頃に玄関で物音がして出ていく。
戸を開けると、酔った様子の信吾さんが壁にもたれかかるようにして座り込んでいた。
こんなふうにフラフラになる姿は初めて見たので、驚いた。
つねに凛とした雰囲気を醸し出している人なのに。
「黒木さん、大丈夫ですか?」
腕を抱えて立たせようとしたけれどびくともしない。