明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~
「信吾さん」
「八重。あ……」
彼はなにかを言いかけたものの、また黙り込んでしまった。
それからしばらく手の力は緩むことなく、私は彼の広い胸に抱かれていた。
父のことがなければ、幸せいっぱいのひとときを過ごせたのかもしれないと思うと残念でならない。
しかし、ひとりの女性を見捨てるという重い罪を犯した父の血を引く娘としては、できる贖罪はしたい。
告発をしなかった私にも罪はあるのだから。
「抱いてもいいか?」
いつもは優しいけれど強引に抱くくせに。
抵抗することは許されないのに、私の気持ちを尋ねるなんてやっぱりおかしい。
「信吾さん。本当になにがあったんです?」
「八重が欲しいんだ。八重だけを」
「信吾さん……。抱いて――」
それ以上の言葉は彼の唇に吸い取られて言えなかった。
なにがあったのか結局教えてもらえなかったが、その晩、彼は私を丁寧に抱いた。
体の隅々まで舌を這わせ、私の体を真っ赤に染めたあと、ひとつになった。