明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~
「信吾さん。私にできることはありませんか?」
なにがあったか言わないのなら、どうすればいいのか教えてほしい。
「それなら、ずっと……。俺だけの……」
やはり言葉を濁し、最後までは聞けない。
だから私は自分が信吾さんに抱きついて、せめて肌の温もりを伝えようとした。
体を交えたあとは、抱きしめられて離してくれない。
私はこの時間がたまらなく好きで、いつもなら心安らぐ至福のときなのに、今日は彼が心配でたまらない。
「八重」
「はい」
「運命ってなんなんだろうな」
私を腕の中に閉じ込めたまま問いかける彼の顔は見えないけれど、ゆがんでいる気がした。
「わかりま、せん」
信吾さんと愛しあったのも、彼との間に直正を授かったのも、憎むものと憎まれるものという立場になったのも、すべて運命と言えば運命だ。
けれど、それになにか意味があるのかと考えると答えは出ない。