明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~
神さまが私たちの間をいたずらに引き裂いたとしか思えないからだ。
そんな不幸な意味なんて与えないでほしかった。
「そうだな」
あきらめたように言う信吾さんは、私の額に唇を寄せたあと、目を閉じた。
しばらくするとスース―と寝息が聞こえてくる。
私を抱きしめたまま眠るなんて、初めて体を重ねたとき以来だ。
少しは私を愛おしく想う気持ちが残ってはいないだろうかと考えたものの、きっと酔って眠いだけだろう。
私は彼の腕をそっとよけ、布団をかけてから部屋を出た。
それから信吾さんの足がピタリと遠ざかった。
それが寂しいのは私だけでなく、直正も「黒木さん来ない?」と何度も繰り返し尋ねてくる。
最初は怖くて震えていたくせして、信吾さんの優しさに包まれたせいで、すっかりなついている。
「そうね。忙しいのよ」
と言いつつ、もしかしたらもうこのまま来ることはないのではとも思った。