明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~
しかし、こうしてひとりで対峙しなければならないと、緊張で顔が引きつる。
先ほどから咳き込みが激しいが、ただの感冒だろうか。
もし結核だったら……。
結核は命が危うい。
不安で胸が押しつぶされそうになりながら、手ぬぐいを水に浸して額にのせた。
「お医者さまが来てくれるからね。頑張るのよ」
フーフーと息を荒らげながら目をギュッと閉じている彼に声をかけつつ、何度も玄関に目がいく。
早く来て……。
それから一時間ほどの時間が、とてつもなく長く感じた。
「真田さん!」
「はっ、お医者さま……」
玄関の引き戸を叩く音と大きな声が聞こえ、一目散に駆け寄って開ける。
すると、そこに佐木さんが立っていたので目を丸くした。
一ノ瀬さんの知り合いって、佐木さんのことだったんだ……。
「直正は?」
「こちらに」
挨拶もせずにすぐに奥の和室に案内する。
「直正。大丈夫だぞ。先生来たからな」
佐木さんは話しかけながら直正を診ていった。