明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~

座卓に置いて勧めると、彼は座布団に腰を下ろして湯のみに手を伸ばした。


「一ノ瀬さんにはまだお会いになっていないんですか?」
「来てすぐに研修に入ってしまったからね。今週どこかで会おうと言っていたんだ」


一ノ瀬さんより先に呼び出してしまったのか。重ね重ね申し訳ない。


「横須賀では本当にお世話になりました。津田紡績もご紹介いただけて、本当に助かりました。今日も助けていただいて……」


バタバタと彼のもとを去ったのでずっと言えなかった感謝の言葉を伝えると、優しく微笑んでくれる。


「元気そうでよかったよ。それに今日は医者として仕事をしただけだよ」
「そう言っていただけると。……あっ、往診代をお支払いしなくては」


慌てたが「いらないよ」と止められた。


「でも……」
「直正の一大事に駆けつけるのはあたり前だ。東京にいる間でよかったと思っているくらいだ」
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