明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~
きっと佐木さんの申し出は、この上ないほどありがたい話だ。
直正はなにかと世話を焼いてくれた佐木さんにすっかりなついているし、もちろん私も信頼を寄せている。
あんな出会い方をしたけれど、私たち親子のためにずっと手を貸し続けてくれた彼が見守ってくれるなら、幸せに暮らせるに違いない。
でも……。
私の心の中には信吾さんがいて忘れられない。
彼とはいわば禁断の関係であり、未来はないに等しい。
しかし、離れる選択をどうしてもできない。
いっそ、冷酷に扱われているのなら佐木さんとともに出ていけるのかもしれない。
けれど、憎しみをちらつかせながらも、彼の行動は優しい。
ただ……酔って私を抱いたあの日以来、足が遠のいていることに不安には感じている。
「ごめん。直正が苦しんでいるときにこんな話を……。でも本気だから、考えてほしい。病院に戻らないと」