明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~
翌朝は朝日が昇る頃に目覚めたが、すっかり体が軽くなっている。熱も下がったようだ。
台所で大根の味噌汁を作っていると、直正が汽船を手にしてやってきた。
余程気に入ったらしく、肌身離さず持っている。
「お母さま、ねんね」
「ありがとう。もう大丈夫よ」
信吾さんの言いつけを守り、私を布団に戻そうとする彼がかわいくて抱きしめた。
「卵焼き、食べようね」
きっと信吾さんも帰ってくる。
失敗したという卵焼きを三人で改めて食べたい。
「うん」
三十分ほどすると玄関が開く音がして、直正が駆け出していった。
「ただいま。いい子にしてたな」
信吾さんの声がしたと思ったら、直正を抱いて現れた。
「大丈夫なのか、八重」
「はい。よくなりました。ありがとうございました」
「当然のことをしただけさ。おぉ、卵焼きだ」
信吾さんは直正のようにはしゃいでみせる。
いつもは大人な彼の意外な一面だった。