明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~
「信吾さん……」
唇を噛みしめて吐き出すように語る彼を見つめると、視線が絡まる。
「お前の父だけでなく、妹から自由を奪ったくせしてのうのうと贅沢な暮らしをしている真田家を恨もうとした。でも、俺の頭に浮かぶのは八重の笑顔ばかり。父を逮捕した俺をきっと憎んでいるんだろうなと苦しくて、気が狂いそうだった」
切なげな眼差しを向ける彼は、ふぅとため息をつく。
「憎むだなんて。父がしたことは許されません。事故のとき手当てをしていれば妹さんは自由を奪われなかったかもしれないのですから、言うまでもありません」
彼にサーベルを向けられたとき、殺されても仕方がないと思った。
憎悪の気持ちがそこまで大きくても当然だと。
「どうして……。どうして八重の父なんだと動揺した。俺は最初、八重が消えたのは、清水家との縁談を受け入れられなかったからだと思っていた。俺を選んでくれたのだと」