明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~
「でもすぐに後悔したよ。震える直正が、ひと目で自分の子だと確信したから。八重はボロボロになりながら、俺との間にできた命を必死に育ててくれたんだとわかったから」
彼は体を離すと、私の手を取り指先に唇を押し付ける。
「出会った頃は、白く美しい指をしていた。でも、俺たちの大切な直正を育てるために傷ついたこの指は、もっと美しい」
視界がにじみ、彼の顔がよく見えない。
「苦労、させたな」
もう涙が流れるのをこらえられなかった。
ポロポロと頬にこぼれると、彼も肩を震わせもう一度私を抱き寄せる。
そしてしばらくして再び口を開いた。
「一度唇を重ねてしまったら、もう気持ちを抑えられなくなった。心の中で『憎め』『仇だ』と何度叫んでも、自分の腕の中で八重が悶えているというだけで、たまらなく幸せだった。八重を恨むなんて、できるはずがないんだ」
彼にしがみつき、声をあげて涙する。
直正に聞こえてしまうかもしれないと思ったけれど、我慢できるものではなかった。