明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~
彼は私にきつい言葉を投げつつも、丁寧にそして愛を伝えるように抱いてくれた。
だから私は、いけないと思いながらも溺れてしまった。
やはり、彼の強い想いがこもっていたのだ。
「許されるなら、八重と直正と生きていきたい。あの医者にふたりを引き受けると言われたとき、渡さないと猛烈に嫉妬の念が湧いた。頼む。俺を選んでくれ」
彼の懇願が信じられない。
許しを乞わなければならないのは私のほうなのに。
「許すだなんて。許されなければならないのは私のほうです。でも、私も信吾さんと生きていきたい……」
もう彼への気持ちを抑えられない。
私のほうこそ、彼に選ばれたい。
「八重……。もうどこにも行くな。一生離さない」
信吾さんは私の頭を抱えるようにして一層密着してくる。
私は彼にしがみつき、思う存分歓喜の涙を流し続けた。
「八重」
しばらくして離れた彼は、私の名を優しく呼ぶ。
「はい」
「八重」
「はい」
「八重がいる。ここにいる」