明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~
その日、信吾さんが帰ってきたのは深夜になってから。
直正は随分前に眠りに落ちている。
「お疲れさまでした。お忙しいんですね」
「いや……」
彼から背広を預かりながら問いかけたが、歯切れが悪い。
「お食事はされてきたんですか?」
「なにかある? あまり食べてないんだ」
「今、準備します」
もしかしたらと用意してあったので、それを居間に運んだ。
「いただきます」
直正の寝顔を見に行っていた彼は、手を合わせてから食べ始めた。
最初に渡されたお金があるので、信吾さんがいるときは肉や魚も献立に入れられる。
今日はさわらの味噌漬けだ。
そのおかげなのかそういう時期なのか、直正の成長が著しい。
「うん、うまい」
かなりの勢いで食べ進んでいるが、あまり食べていないのではなく、まったく食べていないのでは?
「食事をとる暇もないんですか?」
そばに座りお茶を淹れながら何気なく尋ねたところ、彼の箸が止まったので首を傾げる。