明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~
「だから俺はどちらも受け入れられないと言った。仕事の件は説明できたが、結婚は……。他に好きな女がいると何度話しても、連れてこられないなら話を進めると」
私を連れていけるわけがない。
認められるどころか、引き裂かれるに違いないのだから。
それで、苦しんでいたのか。
どうすればいいのだろう。
父が信吾さんの妹さんを見捨てたという事実が消えることはない。
私たちはどう考えても結婚を許されない。
「俺は、八重以外の女を娶るつもりはない」
彼が私の目をじっと見つめてはっきりと言いきったとき、言い知れない喜びが胸にこみ上げてきた。
憎しみの対象でも仕方がないのに、これほど愛してもらえる。
なんて幸せなのだろうと。
「お相手は……」
「黒木造船とも取引がある貿易商の社長令嬢だそうだ。男爵家で爵位は弟が継ぐとか。黒木家にとってはよい縁談だと力説されても、心が動くはずがない。俺は、八重が好きなのだから」