明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~
信吾さんは困った顔をして眉をひそめる。
私が身を引くべきだろうか。
そうしたら彼の苦しみは解消される?
「八重」
「はい」
「逃がさないぞ。お前が逃げても必ず捜し出す」
身を引くべきかと考えていることに気づかれている?
「あの……」
「お前はどうして清水家に嫁がず逃げた?」
「それは……。直正が……」
と口にしたけれど、直正を授かっていなかったとしても逃げた気がする。
信吾さんを愛しているのに、他の男の妻になることも体を許すことも耐えられなかった。
「いえ。信吾さんのことをお慕いしていたから……」
「ありがとう。俺も同じだ。俺を不幸にしないでくれ」
「不幸に?」
「そうだ。お前たちと一緒にいられないことが最大の不幸だ。他のものをすべて失くしたとしても、ふたりと生きていきたいんだ」