明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~
「しかし私は警察官です。警察官としての尊厳を自覚させてくれたのはまぎれもなく八重なんです。私はどんな身分の者も幸せに生きていける世を作りたい。それなのに、私が法律を犯すわけにはいかない」
「そのようなことはお前がやらずとも誰かがやる。この女と手を切り、家を継げ。とよのためにもそうしてくれ」
妹さんのためと言われると、胸が張り裂けそうに痛い。
とよさんも、兄の妻が私ではつらいだろうから。
けれど、信吾さんと離れることがどうしてもできない。
わがままだとわかっていても、どうしても。
「あの男が八重の父でなければと何度考えたことか。でも、その事実は消せません。ですが、私が愛した女が八重だということもまた事実。彼女には罪はないとおわかりいただけませんか?」
「お母さまー」
そのとき、直正が奥の部屋から出てきてしまった。
「八重、行きなさい」
「はい」