明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~

聞いてくれる人がいるのが楽しいのか止まらないので、食事が進まない。


「僕は〝おだま〟ができないの」
「おだま?」
「お手玉でしょ?」


私が口を挟むと「お手玉だ!」と恥ずかしそうに笑っている。

一度間違えて覚えると、しばらくそれを使い続けるのが子供らしい。


「ははは。お手玉か。女の子が上手だろ。俺もうまくないなぁ。でも、直正は雪だるまを作るのが上手じゃないか」
「うん! 雪まるだは負けないもん」


雪だるまも何度言っても〝雪まるだ〟だ。
信吾さんはそのうちわかるだろ?と笑っている。

真田の家にいるときは、幼い頃からそうした間違いもすぐに指摘されて、いつも緊張していた。

けれど直正の笑顔を見ていると、そんなに急いでいろいろなことを教え込まなくても、自然に任せようと思える。

信吾さんも厳しくしつける様子はない。

秀麗な所作を身に着けるより、信吾さんのように正義感あふれる強い子に育ってほしい。
最近はそんなことを考えている。
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