明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~
「ほら、肉を食わないと食っちゃうぞ」
「あー、僕の!」
信吾さんが、食事が進まない直正を見かねて彼の肉豆腐に手を伸ばすと、慌てて食べ始める。
これまた、箸の使い方も姿勢も、真田の父が見たら目をつり上げて怒りそうだったが、信吾さんは笑っていた。
翌日。私は工場の仕事をお休みして、直正を連れて母のところに行くことにした。
この先信吾さんと進んでいくのなら、母にも知っておいてもらいたい。
それに直正の存在も。
それと……父がどうしているのかも気になっていた。
「お母さま、どこに行くの?」
電車に乗った直正は興奮しながら尋ねてくる。
彼は乗り物が大好きなのだ。
「おばあさまのところよ。ご挨拶できる?」
「うん!」
すさまじい勢いで変化していく外の様子に目を輝かせて元気な返事。
突然孫を連れていったら驚くだろうし、縁談を破談にして消えたことを咎められるかもしれない。
けれど、父のことで母も疲弊しているはずだから心配だ。