明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~
「八重です。母はおりますでしょうか?」
「八重さま! これは失礼いたしました。奥さま!」
彼女は目をひん剥いた愕然の表情で、バタバタと中に入っていった。
女中がいるくらいの生活はできているんだわ。
もともとこの辺りでは有名な資産家ではあったので大丈夫だとは思っていたが、自分の目で確認して安堵した。
「八重!」
すぐに出てきたのは、すっかり白髪が増え、目尻のシワも深くなった母だ。
真田家にいた頃とは比べ物にならないほどやつれた様子で、心労の大きさを思い知った。
母は私に駆け寄ると、唇をゆがませて抱きついてくる。
「八重なのね」
「そうです。ご無沙汰してすみません」
耳元で母のすすり泣く声が聞こえてきて、私の瞳もにじんでくる。
「お母さま?」
私の手を握ったまま、きょとんとしている直正に声をかけられて我に返った。
「この子は?」
「私の子です。直正と言います。直正、おばあさまよ。ご挨拶できる?」
「こんにちは」