明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~

恥ずかしいのか私の背中に隠れ気味ではあったけれど、きちんと挨拶できた。


「こんにちは。八重、子供って……」
「真田の家を出たとき、身ごもっておりました。清水家との縁談を破談にして申し訳ございませんでした」


ずっとできていなかった謝罪をすると、母は首を横に振っている。


「私たちが強引に進めたものね。でも私は、破談でよかったと思ったの。お父さまの手前言えなかったけど、妾がいる人に嫁ぐなんて八重が不憫で」


当時母がそんなふうに思っていたとは知らなかった。

真田の家では父の言うことが絶対だったので、口出しできなかったのだろう。


「婚約破棄で清水家は激怒されたけど、そのお妾さんとは別の女性が、自分は恒さんに結婚を囁かれていたと名乗り出て、ちょっとした騒動になったのよ。恒さんの女癖の悪さが世間に知られてしまってバツが悪かったようで、一旦は怒りも収められたの」


まさか、他にも女性の影があったとは。
嫁がなくて本当によかった。
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