明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~

けれど、それで恥をかいた挙げ句、婚約を交わしていた真田家から犯罪者が出たことで、憤りが爆発したのだ。

そして真田家の爵位返上にひと役買ったのかも。

とはいえ、信吾さんも爵位返上に動いただろうし、清水家の力がどこまで影響したのかは知る由もない。

どちらにしても、信吾さんの妹さんを思えば爵位返上なんて大したことではない。


「そうでしたか」
「でも……子がいたのね」


ここに来るまでは叱責も覚悟していたのに、母は泣きながら笑って、腰を折る。


「直正くん。おばあちゃんよ。よろしくね」


随分丸くなった母に驚いたが、もともとこういう人だったのかもしれない。
子爵家の嫁として、毅然と振る舞っていただけなのかも。


それから広い和室に通された私たちは、座卓を挟んで母と向かい合って座った。


「これ、お土産です」


手渡したのは、今日のために信吾さんが用意してくれた千歳の和菓子だ。
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