明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~
【私たちの間には大きな問題がございます。ですが今度こそ、この命に代えてでも八重さんと直正を幸せにいたします。
どうか、結婚をお許しください。
様々な問題が片付きましたら、必ずご挨拶に伺います。
その前に、お母さまの許可をいただければと、心よりお願い申し上げます】
読み終えた瞬間、信吾さんの心遣いに胸が震えて涙がこぼれた。
「八重。黒木さんって……。まさか」
「黒木造船のご長男です」
本当のことを伝えると、母は目を泳がせて放心している。
おそらく父は調べ尽くしていたので、信吾さんが黒木家の長男だということを知っていたが、母は蚊帳の外だったに違いない。
いや、あえて知らされなかったのかも。
事件についても耳に入ってはいなかったはずだ。
「清水家との縁談があったとき、一緒に逃げたのも黒木さんです。ですが……父が犯した罪を偶然知ってしまい、彼に黙って消えました」
「あなた、ひとりで産んだの?」