明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~
「黒木さんに、心より謝罪しますと伝えて。私はどんな罰も受けますと」
「お母さま……」
父の逮捕で初めて知った事件の責任をとるというのはなかなか酷だ。
ただ、私も同じ気持ちなので、母の胸の痛みはよく理解できる。
しかし、信吾さんは母に償ってもらおうとは思っていないだろう。
「結婚の許可もなにも、こんなにありがたい話はないわ。黒木さんの広きお心に感謝しかない」
母が涙ながらに訴えてくる。
私ももらい泣きしそうになった。
「はい。ありがとうございます」
それから兄の話にもなり、父の逮捕をきっかけに逓信省での職は辞したが、今は英語を話せるという能力を買われて貿易に携わる仕事をしているとか。
父の起こした事件で皆それぞれ今までの生活を手放すことになったけれど、元気で生きていられることがありがたい。
とよさんはもう歩けないのだから。
「直正くんは、黒木さんになついているの?」