明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~
「実はまだ父だとは明かしておりません。ですが、直正は彼のことが大好きで、いつも帰りを待ち遠しそうにしています」
「そうだったの。このような配慮の出来る人だものね。きっと素晴らしい人なんでしょう」
私はうなずいた。
信吾さんは私にはもったいないほどの人。
その彼に愛してもらえるのだから、私も全力で愛を注ぎたい。
菊さんとふたり暮らしをしているという母だったが、庭の花の手入れをしたり菊さんに料理を習ったりと、真田家にいた頃にはできなかった経験をしているらしく、それなりに楽しんでいるようだ。
ここで歳を重ねながら父を待つという母に迷いはなかった。
話を終えると、私たちも庭に出た。
「直正くん。もう少し暖かくなったらたくさんお花が咲くのよ。昆虫は好きかしら?」
母は直正の視線に合わせて腰を折って尋ねている。
「バッタはよく捕まえていたわよね」
「うん!」