明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~
「いえいえ。大丈夫ですか?」
「はい」
私はおびえる直正を抱きしめてうなずいた。
また直正に怖い思いをさせてしまい、胸が苦しい。
「お世話になっておいてご迷惑までかけて……。女工の仕事は辞め――」
「うーん。今回のことは私では対処しきれそうにない。一ノ瀬さんに相談しても?」
「えっ……」
思い詰めた私の発言を遮る藤原さんは、怒っているわけでもなく優しい表情をしている。
「真田さんの真面目な働きぶりを見ている者が、あなたのことを悪く思ったりはしませんよ。悪口を叩いていた女工は、あなたのことを知らないのでしょう」
たしかにこれだけの女工がいれば、顔すらわからない人もいる。
「真田さんの素性は一ノ瀬さんがよくご存じですよね。なにがあったのかは深く聞きませんが、おそらくなにもかも知っていて雇ったのではありませんか?」
「そうだと思います」