明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~

「この度は大変申し訳ございませんでした」


社長に向けて、深くお辞儀をする。


「頭を上げて。藤原から簡単に報告は受けています。よくない奴らに因縁を吹っかけられたとか」


因縁、ではない。
犯罪者の娘というのは事実だ。

しかし直正の前で生々しい話をするのはためらわれてチラッと彼を視界に入れると、一ノ瀬さんが寄ってきた。


「直正くん、カステラもう一個食べようか。あっちでお姉さんが用意してくれる」
「うん!」


なんと一ノ瀬さんは機転を利かせて直正を連れ出してくれた。

直正を女子社員に引き渡した一ノ瀬さんが戻ってくると、座るように勧められる。
ふたりは机を挟んで私の向かいに腰を下ろした。


「真田さんの事情は、社長もご存じだよ」


口火を切ったのは一ノ瀬さんだ。


「はい。父が罪を犯しました。ですから、あの男たちが言っていたことは間違いありません」
< 246 / 284 >

この作品をシェア

pagetop