明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~
「だからといって、真田さんが傷つく必要はない。罪を償うのはお父さまだ」
口を開いた社長は、一ノ瀬さんと同じ歳らしいが貫禄と気品を兼ね備えた人だ。
「ですが、またあのようなことがあって会社に傷がついては困ります。辞めさせてください」
ここは自分から身を引くべきだと切り出したが、社長は首を横に振る。
「それはできないな。藤原から、真田さんはすこぶる優秀だと聞いている。他の者が半年かかる技術をたった一カ月で習得したとか」
そんなことまで社長の耳に入っているとは驚いた。
おそらく工場に訪れた際に報告されたのだろう。
「それはたまたまです」
直正を育てなくてはと、必死だったからだ。
しかし、それ以上に迷惑をかけている。
「たまたまだったとしても、優秀な社員を手放すほど馬鹿ではないつもりだ。真田さんがうちを去るとしたら、幸せが約束されたときだけ。一ノ瀬が友人とそう約束をしているようなんだ」
佐木さんと?