明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~

信吾さんは畳を拳でドンと叩く。


「それで、会社からはなんと?」
「迷惑がかかるので辞めさせてくださいと言ったのですが、辞めさせないと。それどころか、過激な行動を控えてもらえるように口添えくださると……」


そう伝えると、彼は目を丸くしている。


「津田紡績の社長は器の大きな人だと聞いたことがあるが、その通りだな」
「ご存じなんですか?」
「今や、国も頭を下げるほどの大きな紡績会社だからね。社長には俺からお礼の書簡をしたためよう」


信吾さんが私のために行動してくれるのがうれしい。

結婚は許されてはいないが、夫としての責任を果たしてくれようとしているようで胸が熱くなった。


「しかし……」


彼は手を固く握り、しばらく視線を宙に舞わせる。


「潮時だな。これ以上は、話し合いでは埒が明かない」
「信吾さん?」


どうしようと?


「八重。直正に父だと話してもいいか?」
「えっ……」


結婚が許されてから話そうと言っていたのに。
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