明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~
「できるなら、これからは直正の父として生きていきたい。償いはこれからどれだけでもする」
償いだなんて……。
信吾さんはなにも悪くないのに。
彼の悲痛な叫びが私の胸をえぐる。
直正を視界に入れると、呆然として微動だにしない。
理解、しているのだろうか。
そんなことを思った瞬間、彼は立ち上がると私に抱きついてきて顔を隠し、動かなくなった。
もしや、これは拒否?
向かいの信吾さんは唇を噛みしめてつらそうな表情を浮かべる。
信吾さんも私も、直正になんと声をかけたらいいのかわからず、しばらく沈黙が続く。
しかしその沈黙を破ったのは、私から離れない直正だった。
「僕もお父さまがいるの?」
「直正……」
横須賀時代、病院では看護婦の子供たちと一緒になって遊ぶことも多かった。
しかしほとんどの子に父親はおり、父親の話題が上がることもあった。
津田紡績の友達とは家族ごっこをすることもあるらしく、お父さん役はどうしていいかわからないからやらないと話してくれたことがある。