明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~
私は直正を強く抱き寄せ、頭を撫でる。
「はじゅかしくない?」
「うん。恥かしくない」
いまだ私の肩に顔を押し付けたままの直正の隣に、信吾さんがやってきた。
「直正」
そして優しい声色で名前を呼ぶと、直正はようやく顔を上げて彼を見つめる。
「直正、ごめんな。ずっとお母さまを守ってくれてありがとう」
信吾さんがそう言った瞬間、直正は私から離れて信吾さんの胸に飛び込んでいった。
「本当にごめん」
信吾さんはガッシリと受け止め、何度も謝罪を繰り返す。
その瞳にはうっすらと涙が浮かんでいる。
「また雪まるだ作ろうね」
「おぉ、もっと大きいのを作ろう。でも、もう今年はさすがに雪は降らないぞ」
親子らしい会話に、私も目頭が熱くなる。
すると信吾さんは左手で直正を抱き、右手で私も抱き寄せてくれた。
こんな日がやってくるなんて。
私は信吾さんの腕の中で、静かに歓喜の涙を流した。