明治禁断身ごもり婚~駆け落ち懐妊秘夜~
翌日の土曜。
私たちは三人で信吾さんの実家に行くことにした。
緊張で顔がこわばるものの、信吾さんと生きていくのなら避けては通れない。
「八重。俺が必ず守るから心配はいらない」
「はい」
間違いなく反対される。
ううん、罵倒されるに違いない。
けれど、信吾さんと離れることだけは考えられない。
すでに一度離れてつらい思いをしたからこそ、その選択だけはしないと心に誓っていた。
手をつないでいる直正は私たちの緊張をくみ取ったのか、先ほどから言葉少なげだ。
「直正。これから俺の家に行く。庭に鯉がいるんだが、餌をやってみるか?」
「いいの?」
ようやく直正の顔がほころんだ。
「あぁ。俺と八重は少し話をしてくるから、俺の友人と一緒にいてくれ」
「うん」
友人って誰だろう。
「直正。お返事は『はい』です」
「いいよ、八重。そんなものはそのうち身につく。直正はたくさん我慢してきたから、のびのびと育ってほしい」
「そうですね」